2007年06月01日

シートベルトの怪

関空行きKLM機で乱気流により、乗員乗客がケガをしたというニュース。
どこにいたっていろんな事故がありますし、乱気流なんて誰も予測できませんから、仕方ないことなのですけれど。
突然の乱気流で、シートベルトをしていなかった人が天井まで跳ね上がってケガをされたそうで、「シートベルトは、ベルト着用解除になっても、着席している時は常にするべき」という意見が、識者から上がっているそうですね。

だったら、言いたい。

なんですか、あのシートベルトはっ!


大問題は、バックル!!
どれだけの人があのバックルの仕組みを理解しているでしょうか。
嵌めるのはともかく、外しにくいんです。
っていうのも、日常生活にあの作りのバックルはないから。それだけに、万が一という咄嗟の時に、どれだけの人がすんなりと外すことが出来るのか。

それなのに、ずーっとずーっと何十年も昔からあの仕組みらしい。
そして未だに、どれだけ飛行機が改良されても、オンデマンドのプライベートスクリーンや、インターネットを利用できる装置や、Cクラスのフルフラットシートやら何やら、いろんなものを作るくせに、シートベルトだけはそのまま。

しかもあれ、乱気流の時には体が跳ね上がるのを押さえるのに役立つものの、飛行機が落下する時には何の威力もないそうですね。
それの最悪例が御巣鷹山の事故でしょう。シートベルトをきつくしていたがために、墜落時の衝撃で体が上下分断された人が多かった、という痛ましい結果となってしまったわけです。
中央部分に位置しているバックルがお腹に食い込み、さらに薄すぎるナイロンのベルトがナイフの役目を果たしたと言うわけ。ホント、想像するのも怖い。
確か、生き残った女性が、「墜落した後に、『シートベルトが外れない。出してくれ』という声を聞いた・・・、というコメントをしていたのを覚えています。

飛行機に毎月乗る人なんて稀で、機内の半数以上が「年に1回」どころか、「生まれて初めて」だったりするわけです。
バックルに小さく刻印されている「LIFT」っていう文字を、たとえ英語が理解できても、メガネやコンタクトをしなければ読めない人も多い。
ベルト着脱の絵は座席前に書いてあるけれど、どこをどう「LIFT」するのか?、何をどう持ち上げるのか意味が分からない人が本当に多いのです。

一番よくいるのが、ちょうつがい部分を押すと外れると思っている人。
薄べったく丸いためにボタンのようにも見えるようです。それで押しても外れないから、何度かやっているうちにパニックになる。
添乗員の時に何度、「添乗員さん、ベルトが外れないんですけど」「あら、外れないわ。ねぇ、どうやって外すの?」ってお客様に声を掛けられたことか。
そのたびに、御巣鷹事故を想像し、とてもイヤな気分になったものです。

私は、いつ乱気流になるか分からないし、寝ている時に乱気流になって、「お客様、シートベルトをして下さい」って起こされるのがイヤだから、着席している時は常にベルトをしています。
しかし、上記のような理由できつくベルトをするのがどうもイヤなので、墜落時の上下分断防止のため、ブランケットを掛けた上にさらにクッションや衣服を置き、その上からベルトを「ゆるーく」しています。
*骨盤の位置でキツク留めないと意味がないのでお勧めしません。

どうしてもっと装着しやすく外しやすいベルトにしないんでしょう。
じゃあどんな?って言われても分かりません。車のようなプッシュ式だと、ボタンが詰ってしまって外れないなんてこともあるだろうし、強度の問題だってあるでしょう。でも、何十年もアレだっていうんですから、いい加減、何か開発したらどうなんでしょう。


そして、その2。
何ゆえに、腰ベルトなのか?

乗務員はクロスタイプのベルト。なのにお客様は腰だけベルト。
理由は?
「乗務員は万が一の場合に、救出に当たらなければならないから」

これを分かりやすく言えば、
「ワタクシ達乗務員が使っておりますクロスベルトは、上半身をガッチリと背もたれに押さえつけますので、より安全な設計になっております。
 お客様は、乱気流で天井に頭をぶつけて脳震盪を起こそうが頭から大量出血しようが、到着するまでボケーっと座っているだけでございますでしょ? 
 ワタクシ達乗務員の任務はお客様の保安要員ございまして、どのような気象条件に於いてもケガするわけにはいかぬゆえ、しっかりしたベルトで体を支えるて保護しているんですの。お分かりいただけますぅ?」

だったら、乗客のシートベルトもクロスベルトにしてガッチリと背もたれに押さえつければ、アナタ様のお仕事も軽減されるのではございませんこと?
そして、ミニタイトスカートにパンプスで首にスカーフをやめて、作業着と安全靴で首にタオルか豆絞りを巻いたほうが、動きやすく機能的ですわよ。

御巣鷹山ではクロスベルト着用の乗務員は全員死亡しましたが(奇跡的に助かった日航乗務員は非番でエコノミーにいたから、腰ベルト席にいた)、でも、客席でクロスベルトだったら助かったはずの人もたくさんいたのです。
理想で言えば、ジェットコースターの安全装置のように、しっかりと抑えられかつ体に食い込まない素材のものならいいんでしょうけどね。
収納場所の問題でどう考えても不可能ですけど。


昨日の午後、もう1つの職場のボスといろいろ話していた時に話題になったのがコレでした。ボスはその昔、航空会社に勤務していた時代があるため、飛行機の話題になると、相当白熱します。

ボスの案は、腰ベルトなんて軽い乱気流の時の助けにしかならない。とにかくクロスベルトにするのと(機上で3点ベルトでは役立たないどころか、脱臼などの危険があるそうだ)、そして、エアバッグ装置をつけるべきだ、と。
エアバッグ・・・。素人の私には実現可能かどうか分かりませんが、「落ちそうになったら前傾姿勢で頭を抱えてください」って、あまりにも古典的過ぎますよ。
ってかアレ、何をどう守るのでしょうか。
その姿勢をとったがために、御巣鷹山事故では、墜落と同時に前の座席にものすごい衝撃でぶつかり、頭蓋骨損傷遺体が多かったのです。
たとえそれが「安全な姿勢だ」と言っても、全ての人が同じような姿勢を取れるとは限らないわけだし。あの狭いピッチのエコノミーで、座高の高い人や太っている人がどこまで体を小さく出来ますか。
だったら、背が高すぎる人や筋骨隆々な人や、お腹が出すぎて前傾姿勢になれないデブはエコノミーに乗せない、ってことを徹底するベきでしょう。

実はなぜクロスベルトに出来ないのか?という理由がここにあるのです。
背が高くてもデブでも腰の位置は同じです。(デブは延長ベルトを使う)。
でも、クロスベルトにすると、座高の高さに応じて肩を抑えるベルト位置を変えなければならない。その上にデブだとさらに延長ベルト。ベルト同士がぶつかって混乱するかもしれない。
じゃ、座高が高すぎる人やデブは乗せない? 身長と体重、事前に量る?


ま、日本の会社が開発したらどうにかなるかもしれませんが。
先日、エアバスの新型機の特集を見ましたが、機内を充実させていても、シートベルトだけは全く同じでした。

あ、思い出した。
昨秋使ったエアフラの日本→パリ便(夜便)、機内全体が古くて、なんとシートベルトのベルト素材がヨレヨレになっていました。「これじゃいくらきつくしても、乱気流で跳ね上がるかも・・・」とちと不安になりましたね。次の瞬間、爆睡していましたが。


とは言っても、航空会社の生き残りが大変な時代、
「うちはプライベートスクリーンでオンデマンド」「うちはネットが使える」「選べる機内食で充実」「ビジネスはフルフラット」といったセールスポイントで集客するのが普通なのであって、

「うちの飛行機はシートベルト万全。エアバッグも飛び出るよ!」

ってまるで、「だから落ちても大丈夫っ!」って言っているようなものですが。
 
posted by Heshbonit at 16:00| ロシュ・カタン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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