2007年08月17日

お土産文化

何度も書いてきましたが、添乗員をしていました。今から10年も昔、青春だった時代の話ですけど。
添乗員って言うと、海外添乗を想像するだろうけど、私は海外よりも国内添乗の方が好きで、海外添乗に行った回数は記憶にある(思い出せる)程度です。

国内ツアー、簡単そうですがそうでもありません。
日本語が通じちゃいますから嘘をつけないし、カラオケ宴会の司会は当然だし、お客のセクハラなんて本当に日常的だし、夜はドライバーの酒に付き合わなくちゃいけないし、それはそれはもう、すごい世界なわけです。

国内ツアーの楽しみって言ったら、お土産。
私が買うんじゃなくて、買わせる方。
どこに行ったら何が美味しいとか、そしてそれは乗務員と添乗員にとっておいしい(リベート収入)とか、いろいろとあるわけです。

さて。
北海道の「白い恋人」が賞味期限改ざんをしていたそうで。
調べたら、11年前からやっていたと。

なるほどねー。11年前って言ったら、私が添乗員を辞めた時期。
不景気でツアーがどんどん減っていき、日給制で働いていたために、「これじゃ、生計を立てられない」ってことで辞めたんです。その時期ですよ。

お土産って、大したことがないものが多い。
「白い恋人」だってそうです。
「だからなんなの?」っていうレベルですよ。

そんなこと言ったら、温泉饅頭だって「だからなんなの?」なんですけど、温泉饅頭っていうのは、どこに行っても定番なんです。
ってか、温泉饅頭は、どこに行っても「茶色い皮に餡子」だから受けるのです。別の温泉饅頭が出来てもまず売れません。

北海道を悪く言うわけじゃないけど、あまり添乗員として面白みがなかった。
どこに行っても添乗員が粗末に扱われる、と言いますか、なんていうんだろ、ホテルでもお土産屋でも、「アンタ、どうせタダで乗って来たんでしょ?」っていう、ロコツな態度を取られるんです。
他社の添乗員5人(全員女性ですけど)と6畳一間に相部屋にされることも日常茶飯事。布団が足りないからと何回頼みに行っても放ったらかしだったこともあったり、もう、最悪でしたね。
他の県でも、「どうしても部屋が取れなくて・・・」と相部屋にされることはありますが2人まででした。ま、酷い時は広い宴会場とか(怖いよ、これ)、果ては布団部屋みたいな所に寝たこともあります。でもどこも「申し訳ないですが満室で・・・」という一言(+帰りにお土産)がありました。
でも、北海道は初めから大部屋に全員相部屋。「寝る場所があるだけありがたいと思え」って感じがミエミエ。バスガイドさんも、いい人もいるんだろうけれど、やっぱり態度が冷たい。

それと対極だったのは沖縄。
そんなにしていただかなくても・・・ってこっちが恐縮するくらいの厚待遇。
沖縄のバスガイドさんは、ホントに優しい。ホテルやお土産店の人も、申し訳ないくらい、腰が低くて親切で、いい。
そうなったら、私だって積極的に売りに売りますよ。気分サイコーですから。
たとえ、リベートが会社に持っていかれちゃう店でも、「お客様、じゃんじゃん買いましょう! これ、美味しいですよ。あとね、これもすごく美味しいんです。この店、お得なんですよー!」って気分になってきます。

ま、そんな元添乗員のボヤキはともかく、ここから本題。


「旅行に行ってお土産を買う」って、日本の偉大な文化です。

そりゃ、リベート収入をどうのこうのと言っていた添乗員にそういうことを言う権利はないって言われるかもしれませんけど、日本人くらいじゃないでしょうか。近距離の1泊温泉に行ったくらいで、いやそれこそ日帰りの花見ツアーに行った程度でも、わざわざご近所や職場の同僚にお土産を買っていくのって。
ちょっと世話になった人に、500円くらいのお漬物やお菓子を買って帰る。職場の人に1つずつお土産をおすそ分けする。それが当たり前なんですよね。


ヘブ語で、「エズラット・ハシェム」という言葉があります。
直訳すると「神の助けで」。何かラッキーなことがあったりしたら、「エズラット・ハシェム」とつけます。
以前、サラレと話をしている時、彼女に、「日本語では、そういう時になんと言うか?」と言われました。

「お蔭様で」

もちろん、それぞれが信じる超上的な何かの助けであるのかもしれない。
でも、周りの人全てが、それぞれを支えあっているのは確かです。

「水は天の恵み」なんだけれど、水道施設を管理する人や水道管を修理する人がいて、そして水道のパイプや水道栓を作る会社があるから、私達はいつでも水を使うことが出来ます。水があるというだけでは便利な生活はできません。
家を空ける時、隣り近所やマンションの管理人に一声かけて外出する。頼まれたほうは何をするわけではなくても、ほんの少しは気を使います。
会社を休んで旅行に行っている間、誰かが代わりをしてる。でも完全に代理が務まるわけではないので、周囲は少し不便するかもしれない。
見える人もいれば、見えない人もいる。全員にありがとうと言い切れない。
だから日本人は、全ての人の「陰」に感謝するのです。

お土産というのは、「見える陰」に「留守を守ってくださってありがとうございました。楽しく過ごしてまいりました」とお礼をすることです。
賞味期限が切れたお土産なんて、「お陰様」に失礼ではないですか。

もしも、「隣りの奥さんがお土産でくれたお菓子を食べたらお腹を壊した」となったら、ご近所付き合いにヒビが入ります。ひどいですよね。


添乗員時代、私だってヤミクモにお土産を売っていたわけじゃない。
日本国中あちこち行ってますから、お土産の袋を見れば、それがどんなお土産かが分かります。
特に高速道路のSAや、大型ドライブインに置いている商品で、どこでも売っていて、シールだけが「ご当地名物!」になっているお菓子や海産物。
旅行会社で紹介する以上、そういうものは絶対に勧めません。ツアー行程で案内するのは、絶対にそこでしか買えない正真正銘の名物を売る店です。

クッキーにしてもお饅頭にしても干物にしても漬物にしても、スーパーで買ったら半額以下です。いくらそこでしか買えない有名な名産品とは言っても、原価計算をしたら一目瞭然。誰だってそれが割高なのは分かっています。
それでもわざわざ化粧箱に入って「ご当地名物」として売っているんですから、買う側はその「付加価値」を信じているわけですよ。
ちゃんと作られているだろう。美味しいだろう。珍しいと喜んでもらえるだろう。

考えてもみてください。旅行に行って、お土産を買って帰る「お蔭様」がいるということは、とても幸せなことなのです。
そんな誰かがいないというのは、つまり帰っても、楽しかった旅行の話を聴いてくれる人がいないってことです。とっても寂しいですよ。

白い恋人、継続する気なら、猛省してほしい。
  
posted by Heshbonit at 16:00| ノスタルジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。