2007年07月05日

パンがないなら

未だに郵便公社がストとサボタージュを続けておりますが、
なんと、ここまで来ました。

lehemahid.JPG

こちら、イスラエルで1番安い「レヘム・アヒード」というパン。
「レヘム」が「パン」。「アヒード」は「同一の、統制された」という意味。
イエス誕生の「ベツレヘム」は、ヘブ語で「パンの家(ベイト・レヘム)」という意味になります。ところがこれがアラビア語だと、「レヘム=肉」なので「肉の家」。彼らの主食が肉なんでしょうか。

って、語源の話じゃなくて・・・。

このパンは、通産商業省によって政府統制価格が指定されており、現行では、3.65シェケル(税込。日本円で百円程度)で販売されています。
政府統制価格が設定されたのは、建国当初、あっちこっちでムチャクチャな大きさのパンが作られていたため、「最低レベルのパンはこの重量・大きさで、こういう材料でこういう製法で作り、価格はいくらとする」という基準を決めたのが発端。
最低最低と書きましたが、不味くて食べられないわけではありません。イスラエルで厚切りトーストに出来るパンはこのくらいなので、たまに買ってます。あと、パン粉もこれで作るし。


さて。
異常気象等によって世界的な小麦在庫の減少したため、先物取引に影響して、世界的に小麦価格が上昇しています。
これが小麦を自国生産しているイスラエルにも逼迫しており、さらにここ数ヶ月続いているドル下落によって、対外輸出の収入にも影響している現状です。
そこで、大手製パン会社が通商省に、「政府統制価格を12%引き上げてほしい。それが出来ないなら、政府が値上げ分を援助金として払うべきだ」と申請。この12%は、高騰した原料費にあたるそうです。

ところが、通商省はこの意見を却下。さらに
「今年9月末で、このパンに対する統制価格設定をやめる」と言い出しました。

3.65シェケルのパンが12%値上がりしたら4シェケルになります。これを、現在の流通で概算すると、2250万シェケルの差額が出てきます。値上げできないならば、差額分を政府援助金として、パン工場に対して払ってほしい、というのがパン工場側の意見。

それに対して、通商省は、
現在、政府から社会保障(生活保護・障害者手当・母子家庭その他諸々)を受けている約62万世帯で、この2250万シェケルを分配して、各社会保障の支給額に上乗せすれば、1世帯あたり年額36シェケル(990円)、月額にして3シェケル強の増額になる。
つまり、「この3シェケルは、月にパン7〜8個を買う場合の差額に匹敵する(12%値上げ→0.4シェケルの増額)」というのです。

なるほどー。分かりやすいじゃない。

で、もう1つ加えるとすれば、この政府統制パンが、全国パン市場に占める割合は17%足らず。そして、生活保護受給全世帯がこの最低価格のパンだけを毎日食べている、というわけではない。
国民の2割がアラブ系で、彼らは自分達の居住地で作られている古来からの丸くて平べったいパンを主に食べるし、北アフリカ系ユダヤ人にしても同じような平べったいパンを好みます。
ロシアや東欧出身者は堅い黒パンを好み、健康志向の人は全粒パンやカロリー抑え目パン、オーガニックパンなども普通にスーパーに並んでいます。
初めのほうに書きましたが、建国当時の貧しい時代に最低基準の品質と大きさと価格を決めたのが政府統制価格の発端であり、今の時代は、(日本とはまったく比べものにはなりませんが)、それなりにいろんなパンがあるのです。


訴えが受け入れてもらえなかったら?
働かない。動かない。そして、大騒ぎ。

さぁ、イスラエル名物・ストライキの始まり始まり〜!

今朝から、イスラエルの大手パン工場が、政府統制パンの製造を中止しました。
統制価格を廃止してしまったら、量産できる大手工場ならともかく、中小のパン工場の倒産の危機になりかねない。価格競争にどんどん拍車がかかる。
パンは主食だ。これはパン製造業者と全国民に対する挑戦だ。受けて立つぞー!

・・・でも、ちょっと待った。

そう。作らないのは、政府統制パン。他のはあるんです。
市場に占める17%の最低基準パンがないならば、他のパンを買えばいい。そして大手工場が全面ストをしているわけではなく、他のパンは作っているんです。

そう、これがまさに、

パンがないなら、ブリオッシュをお食べ!
文句があるならベルサイユへいらっしゃい!

・・・え? どこに来いって?

ちなみに、現在の通商大臣はこちらの方
宗教政党の党首にしておくのがもったいないほど(?)、男前です。「Heshbonit、イスラエルで誰がカッコイイと思う?」といわれて、この方の名前を言うと、誰もが大爆笑するため、黙っています。


ま、ストライキ、長くは続かないでしょう。せいぜい3日。


※当方、いかなる理由でも「無断リンク・無断記事引用禁止」としております。ご理解下さい。
 
posted by Heshbonit at 17:00| イ国のニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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