2007年06月10日

らいおんハート♪の買物

昨日、衝撃的なニュースが走りました。

こちらで何度か話題に書きました、らいおんハート♪こと、大富豪アルカディ・ガイダマック氏が、「ティヴ・タアム」というスーパーマーケットチェーンを、金曜日にいきなりお買い上げになりました。

そのくらいなら、まぁお金持ちなんだから、別にいいんではない?

ま、そうなんですが。
しかし、ガイダマック氏が発表した一言に、国中ビックリ。

「ティヴ・タアムをカシェルにする」

???

説明しましょう。
「ティヴ・タアム」というスーパーの話は何度も書いてきました。
非カシェル(ユダヤ教の教義に則っていない)のスーパーマーケットチェーン。
豚肉・豚加工品や貝類も売っているし、ユダヤ教ラビのライセンスのない輸入食材を多く入れているし、ペサハ(過越祭)の期間でも小麦製品などを売っています。
ロシア系移民(正規ユダヤ人ではないドサクサ移民)だけではなく、外国系の人達にも人気の店。私も3ヶ月に1回くらい買物をします(肉は食べないので全く興味がないですが、輸入食材などを買うため)。
シャバット(金曜夕方〜土曜日)にも営業しているし、その他ユダヤ教の祝日にも無関係にやっているのでとっても便利なんです。

さて、それをカシェルにして、土曜を休みにしたら、一体何が残るのか?
単なるスーパー。しかも店によっては辺鄙な所にあったりする。私の村から50km離れた所にある支店なんてホントに狭いし、野菜などはロクなものがない。
つまり、カシェルにしたら何の魅力もありません。よほどのことをしないと潰れるのは必須です。


ここまでは昨日の時点での話。
今日のニュースを読んでさらにビックリした。

「ミズラアでは、豚肉加工はさせない」

なんとっ! 
「ティヴ・タアム」は、イスラエル大手の食肉加工会社・ミズラア社の株主(持ち株75%)だったんです。それは知らなかった。

「ミズラア」は、1957年に創立された食肉加工会社で、ナザレに近い「ミズラア村」で経営されていたのがどんどん発展し、現在は従業員1500人。ミズラア社の持ち株25%は、この村が保有しています。
実は、このミズラア社のメインは、豚肉加工なのです。
もちろん豚肉だけではなく、牛肉や鶏肉や七面鳥などのアイテムもありますが、「ミズラアといえば豚加工品」というほど、その名前が浸透しています。

うちの村のコンビニにも、ミズラアの豚加工品が入っています。ユダヤ人とは言っても、そんなのを全く気にしない人が多いものですから。

ところが、ある日いきなり大株主にガイダマック氏がなり、支配権を獲得し、「豚肉加工は作らせない」と宣言をしたわけですから、そりゃビックリです。


じゃ、なんでガイダマック氏はいきなりこんなセンセーショナルな行動に出たか?

票取りです。政界進出を狙ってるから。

彼は、「ベイタル・イェルシャライム」というエルサレム地盤のサッカーチームのオーナー。新聞によると、エルサレム市長を狙っているらしい。ホントかどうかは分かりませんけれど。

上に書いたようにロシア系っていうのは、「ユダヤ人ではないドサクサ難民」が圧倒的。ソ連崩壊後に、偽装書類で「ユダヤ人です」と偽って流入してきたわけ。
しかし入ったら入ったで、イスラエルの中に「ミニ・ロシア」を作り上げ、今では全国ネットのロシア語TV局があるし、各町にはロシア系ショップがあって、ロシアの輸入品を売っている。もうどこもここも、イライラするくらいにロシア語。
そして、「豚肉を食べます」「クリスマスを祝います」「聖書なんて読んだことがないし勉強するつもりもない」って、そんな人達が百万人いるわけ。
ハッキリ言って、イスラエル国内では嫌われています。
でも嫌われたって百万人いるわけですから、どうしようもないんですけど。

それだけに、旧ソ連出身のガイダマック氏は、「所詮、毎日豚肉食ってるロシア人でしょ?」ってな白い目で見られている。
そう、ロシア系はいつまで経っても「ロシア人」。「イスラエル人」とは呼ばれない。

ここで彼が、自分のポジションを確立するためには、なにかすっごいデッカイ印象に残ることををしなければならない。
そこで、「非ユダヤ的」の代表格である、「ティヴ・タアム」と「ミズラア」を掌握してしまえ!と、いきなり株をガーっとお買い上げになったわけです。
「ティヴ・タアム」にしても「ミズラア」にしても、好ましく思っていない人が多いだけに、新聞のフォーラムなどにも「よくやった!」「見直した!」というコメントが見受けられます。


・・・でもさぁ。
かわいそうなのは、ミズラア村。

ミズラアの豚加工商品ミズラア社は、ミズラア村の経済を担っている工場ですよ。
ティヴ・タアムが出来たり、ロシア人が来たりするずっとずっと前から、豚肉加工をしていて、90年代に入ってロシア人が一気に入ってきてからグングン成長した。
2004年、急成長して全国各地に支店を伸ばしている「非カシェルのスーパー、ティヴ・タアム」が大株主となってくれた。もう見通し明るかったわけですよ。

今年で創業50年。
このままずーっと上手いことやっていけるかと思ったら、何の前触れもなくいきなり大株主になったロシア系ガイダマック氏が、「主要アイテムである豚加工品を作るな」と宣言したのですから。


「これからは、ユダヤ教の教義に則って、牛鶏七面鳥の加工だけ」って言われたって、既にそれで確立している有名会社が多数あるんですからね。
今から、牛や鶏肉の商品開発してどうなると思います?
いつから製造中止になるか発表されていませんが、これじゃ、労働者をクビにはしないと言っても、そうせざるを得ないでしょう。
どう頑張っても、株を買い戻すことはできないだろうし。

村民1000人の生活がどうなるんでしょう。

彼にとっては、ミズラア社が潰れても痛くないだろうけど。   
 
posted by Heshbonit at 19:00| イ国のニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする