2006年12月20日

現実の風

[今日の天気:晴れ]

いつものように出勤。先輩部員が出勤してきて、放置プレイしたままだったプリンターに怒っています。
実は原因が分かっていたので、わざと思い出さないようにしていたのです。
プリンターは私のPCがホストになって起動します。先輩部員にもプリンターがあるのですが、彼女はときどきなぜか私のこのプリンターに切り替えてプリントします。
その時、以前使っていたプリンターのアイコンをクリックしてしまうとそこで「化け」が生じて、現行のプリンターが狂ったようにムチャクチャなものをプリントするのです。そう、原因は先輩部員。

ま、「あなたのせいです」とは言いたくないですから、システム管理会社のメンテが来て「誰かが古いプリンターでコマンドしてしまったから、新しいプリンターがおかしくなる」というのを説明してくれれば、それで十分。
システム管理会社に来てもらって、プリンターを直してもらいました。


さて。
今日の午後、買物に行った時のこと。
以前あったスーパーが潰れてしまい、ずーっと空き家状態だったのですが、最近別のスーパーがそこに入りました。野菜も新鮮だし、チェーン店だから価格も手頃なので、最近はこちらばかり利用しています。

あれこれワゴンに入れて、パン売り場に差し掛かった時、小さなワゴンでスフガニヤを売る店員をふと見て驚きました。
ロシア系の疲れたオバサン・・・。いえ、オバサンと言っては失礼です。確か彼女は私と同じくらいのはず。
語学学校に行っていた時の同じクラスの女性でした。

彼女とは1度も話したことがないけれど、物理学のPh.Dを持っていて、かなり優秀な人だと周りの人が言っていたはずだった。美人でスタイルもよく言葉もものすごく出来た。
あれから5年以上経って、彼女がスーパーのスフガニヤ売り・・・。
化粧も全くせず、金髪を三角巾の中に押し込んで・・・。

彼女を見ないようにパン売り場に行って、彼女に背を向けるようにこそこそとパンを選んでその場を離れた。
恐らく彼女は気が付いたと思う。この地域に住む日本人女性は私だけだし、会話したことがないと言っても、同じ小さな教室で勉強したのですから。


かなりショックだった。
非常に厳しい現実を見せ付けられた。そんな感じ。

運はどこにあるか分からない。
語学学校を終えてから、彼女が何をしていたのか知らない。
でも、彼女にとっては不本意な仕事を繰り返してきたとしか思えない。


片や、物理学のPh.Dを持つ、金髪美人のロシア系が、スフガニヤ売り。
片や、ロクな学歴のない、超ブサイクなガイジンが、村役場の経理。


もちろん、私だって初めから経理屋ってわけじゃない。
この村に来てからというもの、どう考えても女がする仕事ではない肉体労働をし続けた。今でもその職場に在籍しているため、いつ仕事を頼まれるか分からないから足元は安全靴で経理部出勤。今日の午後だってボスに呼ばれて30分ほどその仕事を手伝っている。そんな状態。

そうやって日に焼けながらも生傷を作りながらも爪割りながらも仕事をして村の信頼を得て、いろんなことが重なって、経理部に入ったのが今から1年9ヶ月前。
気楽に仕事をしているようでも、重圧と重責で、実はいっぱいいっぱい。
ブログでは書かないけれど、風当たりだって相当なもの。

それでも、田舎の小さな村という環境と、周囲のたくさんの親切に支えられて、1人で塞ぎこむようなこともなく、毎日を送っている。


特にロシア系の場合、とにかく大量に移民が来たことと、その移民のレベルが全体的に高いことから、自分の得意分野で働ける人は本当に稀だと聞く。
純粋なユダヤ系でない人もかなりいるということもさることながら、ロシア系移民の女性には、お金稼ぎのために安易に売春に走る人や、母子家庭手当ほしさに書類上離婚するロシア系夫婦なども少なからずいるため、ロシア系と聞くだけで毛嫌いする人もかなりいるのが現状である。


ヘブライ語で、イスラエルに移民(帰還)することを、「アリヤ」という。
「アリヤ」とは、「上がること」。

語学学校に行っていた時、あるロシア系男性が私にこう言った。

「君はこの国に来た。そして帰るところがある。
 私達は移民なんだ。ここに上がってきてしまったんだ。
 上がったらもう降りるところはない。落ちるわけにはいかないんだ」


小さなワゴンでスフガニヤを売る彼女も、もう降りるところはない。


ならば私は帰るところがあるのだろうか。
もちろん、帰るところはある。しかしそんなつもりで毎日を送ってはいない。
この年になって、「やっぱり日本。いや、やっぱりイスラエル。どっちにしよう・・・」なんてフラフラできるものではないのだから。


現実の風は厳しい。強烈に厳しい。
    
posted by Heshbonit at 19:00| 真面目なたわごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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