2006年03月10日

経理の素質

検索ワードで「経理」「素質」という言葉があり、何か書きたくなりました。

経理の素質・・・。
資格や学歴職歴以前の問題で、経理に向いている人はどういう人か?ってことですね。

多分、我ながら、天職だと思っております。
先日、先輩部員と話をしていた時に、経理ってのはなにか?みたいなことになって、彼女は、「経理は言葉だ。数学なんて関係ない」と言いました。
ま、確かに。数学の出来不出来は経理に関係ありません。

経理ってのは理論は簡単。
「貸借一致の原則」 「費用収益対応の原則」

借方に記入したら、貸方も記入しなくちゃいけない。
「お金が出ました。理由なし」ってのは経理には存在しない。
いや、「理由がない」というのも理由なのだから、「理由がない理由」を聞いてそれに該当する費用として計上するか、後日理由がハッキリするまで仮払いとして計上するか、とにかく借方も記入しなくてはいけません。(貸借一致)。
また、支払った部門の費用にしないと。他の部門の費用にしたら怒鳴られます。(費用収益対応)。
闇に葬り去る金ならば、お金が出たことも書けませんが・・・。

だからってね、四角四面じゃできないの。
「どうしても出所を明らかにしないと!」「一体何のお金ですか!」なんて息張っていると、信用を得るどころか、「いちいちうるさいやつだ」ってなことになっちゃうわけ。「てめぇの金じゃねぇだろうが!」って。この辺の見極めがね・・・。
で、その理論を十分頭に叩き込んだら、あとは簡単。
一般企業では経理はコンピューターシステムでやっていますから、ある勘定科目を調べていて、それがどうなったか知りたかったら、相手勘定になっている勘定科目に入っていって調べればいい。

ならば、経理はそれさえ理解できればいいんですか?
ここから、「素質」に入っていきましょう。

経理の極意は、「人に聞かずに仕事をこなす人」

どこの部署も同じだ、と思うかもしれませんが、経理部は特に。
経理部っていうのは、非常に個性の強い人がいます。
そして気が強い人や、自分の世界を持っている人が多い。
どの会社でもそうですが、経理部内で談笑することはあまりない。
それぞれがシステム内の情報と繋がっているという感じで、同じ経理部に働く者同士でも情報を交換しあうことはありません。「システムで見れば分かるでしょ」と。
それは営業マンのライバル同士の競り合いとは別の理由です。「お金を預かる」という責任を負って仕事をしていますから、当然といえば当然なんです。

はじめはいいんですよ、聞いても(忘れないようにメモ取りは必須)。
でも回数やったら間違いなく嫌われ、「無能」という烙印を押されます。
はじめはしっかり聞いて、そこから先は経理の基本を押さえて、人に聞かずに自分で調べていけるかどうかってのが、経理の素質だと思うんですよね。
逆に言えば、分からないことを人に教わるのがキライな人ってのは経理に適しています。
「分かりません」と言いたくないから、前の資料をひっくり返してどうやって処理するか探す、というのが経理屋によくある光景。
で、ギリギリまで自力で調べて、最終的に確認の意味で聞く。「前回はこういう処理をしたようですが、今回も同様でいいでしょうか?」と。

先読みっていうのかな。
「これはどう処理すればいいですか?」と上司に聞いたって、「前回どうやって処理している?」って言われるに決まっているでしょ。
上司は学校の先生ではないから、分からないことは何でもかんでも聞けばいいってものではない。もちろん、聞かなくてもいいっていうんじゃないですけど。

ある程度の記憶力というか執着も必要です。「アノ件はどうなっている?」って言われて、「え、どの件のこと?」っていうのではなく、据え置きになっている問題はいつまでも執念深く覚えていて、聞かれたら即答できる、っていう。
私のように、覚えているけどヤル気がなくて手をつけないのは別問題。

それから、人任せにしないこと
上にも書いたけれど、経理部はそれぞれが責任を持ってやっていますから、「誰かがやってくれるでしょ」なんて確認を怠って大変なことになったりします。
もちろん、経理は1人で出来るものではないですから、間違いはどこかで発覚します。でも毎回誰かに間違いを指摘されるようでは、経理部から追い出されかねません。
いうなれば、「人を信用しない」。
誰かが、「小切手、処理しておいたからね」と言っても、絶対に処理を確認する。あとで何かあった時、「だって、彼女がやったって言ったから、確認していません」なんて言ったら、経理部失格です。
経理部で信用できるのは、自分と自分がはじき出した数字だけです。

あと、ファイリング
資料を揃えるのキライな人には向かないです。経理部に集まる書類は半端な量じゃなく、「あの書類、どっかにやっちゃいました」じゃ話になりません。相手先に、「請求書をなくしたから再発行してください」、って頼むのは会社の恥です(郵便で来なかったなら不可抗力)。
だからって、ファイリングだけ上手くても仕方ありませんが。

極意中の極意、顔色を変えずに仕事が出来る人
会社のあらゆる辻褄を合わせる部署が経理部です。
ある社員だけが恩恵を得ているとか、どうしてこんなものが経費で落ちるの?とか、そういうのが本当にたくさん来ます。
それらに対していちいち眉をひそめて口をへの字にしてはいられないのです。来たものを右から左へ淡々と流せる、そしてたとえ経理部内でもそのことは絶対に他言しない。
上でも書いたけれど、「これは何の費用ですかっ!」と生産もしなければ営業もしない経理部員が詰問してはなりません。その当たりを上手く立ち回れなければ、別部署に飛ばされるでしょう。
誰が来ても事務的に、媚を売る必要はありません。ただ淡々と仕事をすればいいのです。...相当難しいですけれどね、これって。

まとめて一言で言えば、経理にはマニュアルがないってこと。
あるのは、始めに書いた2つの原則。そして法律。
あとは強気。自分がはじき出した数字が絶対だと信じ込む。
自分の仕事には間違いがないと自信を持つ。
会社の全信用は、経理部員にかかっているんです。
さぁ、経理部で働きたくなってきたでしょ?

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私が経理を勉強し始めたのは、高校2年の時です。
同じクラスの友達のお父さんが急逝したのがキッカケ。
県立の地域限定プチ進学校に通っていた私は、高校を出たら進学するものだと思っていましたが、もし万が一、彼女のように親が急逝したら、私の家の経済状況からすると就職するしかない、ということに気が付いた。
就職って言ったって、普通科卒の私が一体何の仕事ができるだろう? そんな時、目に付いたのが雑誌の後ろに載っていた簿記の通信教育の広告。
パンフを取り寄せてみたら簡単そうだったし、部活もバイトもしていなかったから時間はあったため、早速申し込み。簿記3級だからラクラク合格しました。
ま、「万が一就職しなければならなかったら」という保険としての勉強だったから、その時はそれ以上のものを目指すつもりはありませんでした。
もちろん、高卒で簿記3級なんて何にもなりませんが、履歴書に小学生の時の珠算と書道しか書くことがないんじゃ困るな、と思ったものですから。

いろいろ考えて、大学には行かずに専門学校に入って、簿記に再会。
通信教育では自分だけなので周りのレベルとかも知らなかったけれど、どうも簿記がかなり得意だってことに気が付きました。
財務諸表とか、もうなんなの、この楽しさ。
なんか、とにかくもう好きなんです。意味なく好き。
数字に執着があるというのもその理由のひとつかもしれませんが。

で、日商1級まで取って、それから税理士になろうなんて決意して・・・。
初めて挫折しました。
能力の限界もあるんですが、簿記が楽しいって言うのと、税理士として働くって言うのは、全然話が違うってことを知りました。現実の風は冷たかった・・・。
専門学校を出て、地元の税理士事務所に就職しまして、所長が、「若い女性が就職しながら税理士を目指すなんて素晴らしい」と、いろいろと教えてくださいました。
税理士試験は、簿記論と財務諸表論が必須で、法人税と所得税が選択必須で、それ以外は相続税・事業税・酒税・固定資産税etcから選択して、計5科目合格しなければならないんですが・・・、
その先生が得意としたのが、「相続」と「固定資産」だったのです。
あのねぇ、20歳の新卒に相続・・・、キッツイですよ。
先生のお供として行った顧客先や、顧客が事務所を訪れた時など、相続の修羅場を見させられちゃうんですから。それでイヤになっちゃったんですよね。税理士ってヤな仕事〜って。

学生の時に、学校の先生が紹介してくれた会計事務所でバイトしたことがありますが、そちらは渋谷のはずれにある明るい雰囲気の事務所で、顧客も企業が多く、もしそこに就職していたらそのまま税理士になっていたと思いますが。(渋谷の事務所は「うちで最後まで面倒見るよ」と言ってくれたにも関わらず、自宅から近い方がいいって言って辞めた私がバカだった・・・)。


あ、渋谷の事務所で思い出した。
その事務所でのバイトを始めた日、大先生が私に、
「この集計用紙に、4・3・3…で縦線を入れていって」
と、A3の集計用紙をポンっと渡されました。
集計用紙なんていうのを見るのも初めてだった私ですが、言われたように渡された集計用紙に縦線をひたすら入れる作業を黙々とこなしました。
それから数日後、その集計用紙に数字がビッシリ書いてあって、
「これ、計算して」と。
電卓だったらお手の物、とひたすら言われたように計算する私・・・。

後日、別の職員から聞いたのが、「あれ、適正試験なんだよ」と。
中には、集計用紙に縦線を入れる「一次試験」で消えた人もいるらしい。
「ウィンドウズ」が存在せず、「エクセルのピボット集計」なんていう便利なものが開発される前の、古き良き時代でした。

就職戦線開幕だそうで。
今年は英語試験のスコアとかも必要だとか。
みんながんばれ、就職活動。

でもそんなにがんばらなくても、こんな人生もあるから。
かなりキツいけれどさ。



もうひとつ、大切なことなんだけれど。
経理部って嫌われやすいから、覚悟してね。
他の部署の人は、経理から情報を得ようと聞きたがる。
誘導尋問したり、時として、しつこいくらい。
でも経理部でいる以上、黙秘するのが当然。
お金に携わっている以上、当たり前のことなんだけれど、断られると逆上して、「なんだ、経理のアイツは! 生産もしなければ営業もしないくせに、金勘定するだけで威張りやがって!」って、逆恨みされやすいんです。
開き直って強気姿勢で行くか、ヘラヘラと上手く立ち回れるか・・・。
それは人それぞれ、かな。

私? 聞くまでもないでしょ(笑)。
posted by Heshbonit at 14:00| 経理のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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