2009年06月11日

イスラエル宛てEMSと税金・手数料

先日、在イスラエルの方から、「日本から送られた荷物にかかる関税と手数料」に関してお問い合わせをいただきましたので、今日の記事にさせていただきます。
たまにはマジメなことも書かないと、と思っていた矢先でした。
お題をいただきましてありがとうございました。

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イスラエルでは、海外からのほぼ全てのEMSに、関税・消費税と手数料が課せられます。
たとえば私、先日、親戚からEMSで荷物を送ってもらいましたが、約170シェケル(4400円)を払いました。(現行レートで1シェケル≒26円)

2006年から、これまで政府管轄であった郵政省が民営化され、「イスラエル郵便株式会社(ドアル・イスラエル・ベアム)」になりました。(読みにくいので、この記事上では「郵便局」という名で書きますが、正しくは郵便会社です)。

その後、段階的な移行手続きを経由。
2008年、大蔵省が、郵便局による税関業務を認可。
それ以降、個人的なプレゼントも、個人使用のネットでの購入品も、そして輸出入業者でも、海外から郵便物を受け取る時には、【関税・消費税・郵便局による通関業務手数料】を支払わなければならないということになりました。

それでは順に説明していきます。

その@−関税(Meches)

課税対象は、物品と送料・保険料(CIF。Cost Insurance & Freight)の合算価額が50米ドルを超えた場合。50米ドルまでは免税です。
私の今回の場合で説明しますと、送料が約6千円で荷物の価値が約5千円。
現在のレートではほぼ$=100円ですから、CIF価額は110ドル。
このうち、50ドルは免税となり、残り60ドルが課税対象として計算されます。

関税とは、自国の商品を守るために、他国商品に対して国が賦課する税金です。
物品にもよって税率が変わりますが、たとえば服や食料品は12%です。
しかし、個人的使用の物品ならば(ネット販売の高額化粧品や電気製品などでなければ)、「形式上の金額」で課税されるようです(今回の私の関税も、そんな感じでした)。
関税が全く掛からないケースもあるようですし、米国・EU諸国からの発送物は、免税となる物品が多くあります。

そのA−消費税(Ma'am)

え、消費税?と思うでしょうけれど、これも支払わなければなりません。
免税枠50ドルを超えた部分はシェケルに換算され、消費税が賦課されます。
理由は「その物品を国内で買っていたら消費税を払わなければならないから」。

そのB−通関業務手数料(Amlot Amil Meches)

関税や消費税は仕方ない、と思ったでしょう。
しかし、これはちょっと腹が立ちます。
イスラエル郵便株式会社の手数料の出番です。
一気に説明します(注:課税対象CIF価額千ドル以下の場合)

 A:通関手数料 60シェケル
 B:L/C作成代 30シェケル
 C:掛払手数料 20シェケル
 D:消費税    17シェケル =(A+B+C)X現行15.5%
 合計(A+B+C+D) 127シェケル(≒3300円)

高い!有り得ない!...とは思うんですが、理由を説明します。

どの国も同じですが、海外から発送された荷物は、到着時に税関の審査を受けねばなりません。
通常の輸入物品に対する税関業務は、空港や港湾に船荷が到着した時点で輸入業者に通告があり、自ら赴いて通関作業をするか、自分で通関業者に業務を委託して処理をしてもらいます。

EMSの送り状は、通常の通関に必要な輸入手続書類を簡潔に網羅した用紙であり、個々人そのための手続きをする必要がないのです。
そのため郵便局は、「個々人がわざわざ税関にきて手続きをする手間を省くため、格安の値段でサービスを提供している」ということで、上記ABCの手数料、そしてサービスに提供する以上は消費税も徴収するというわけ。
税関部門は空港・港湾ではなく、テルアビブの郵便局内に設けられています。

親方日の丸じゃなくてダヴィド星の時は収支なんて気にしなかったけれど、独立採算制の会社形態をとる以上、収入を作らないと経営が成り立ちません。

かくして、【@関税 A消費税 B通関業務手数料(A+B+C+D) 】を合算した金額を支払わなければ荷物を引き取れない仕組みになっている、と。私が今回払った170シェケルのうち、43シェケルが関税と消費税、127シェケルが通関業務手数料というわけです。


注意しなければならないのは、50ドル超で課税対象と判断されてしまったら、50ドルをたった1ドル超えただけでも、Bの通関手数料127シェケル(3300円)を払わなければならないということです。
極端な話、商品価値が10ドルに満たないが重量がある物品を送料100ドルで送ったとしても、CIF価額が50ドルを超えているのですから税関取扱い輸入物品とみなされます。
なお、50ドル超でも非課税、と認められた場合、最低通関業務手数料35シェケル(≒900円)がかかります。

納得できないなら、その場で受取拒否して税関にもう一度送り返してもらって調べてもらうことも可能ですが、相手は税関ですから、よほど法外な金額でない限り、素直に受け取った方が妥当です。
再審査を依頼した後に小包が行方不明になったり、送付品に破損が生じたとしても、どこまで責任を取ってもらえるか分かりませんし、未確認ですが、再審査手数料なるものが掛かるようです。

そもそも、EMSというのは何でしょう。
基本的にどの国も郵便局が取り扱っている「国際スピード郵便」という名前の郵便方法ですが、つまりは、DHLやFeDexと変わらないのです。日本でも、「郵便小包」以外にクロネコや佐川があるのと同じです。
国という立場である税関にとっては、どういう方法で来ようが、それが輸入形態である以上、税務申告手続きをしなければなりません。だから郵便局もDHLやFedexと同じように、手続き代行をする。だから手数料を取るのです。
たぶん、DHLやFeDexは関税手続きや手数料を取るんだから、EMSだって同じようにしろ、みたいなことになったんじゃないかな、想像だけど。

ひらめき 2011年より一部改定があり、通関手数料が課せられる項目が増えました。

●通関手数料が免除されるもの
  2キロ以下の小型包装物(Small packet)
  5キロ以下の印刷物(Printed matter)

個人使用の食品・雑貨程度であるならば、2キロ以下の小型包装物でこまめに送れば、手数料が課せられません。たとえば2kgの小型包装物を日本から送るとしたら、送料が2760円。
海外のネット販売などで、化粧品などを購入する際も、小型包装物扱いで「送料込で50ドル以下」であれば非課税となります。書籍や雑誌新聞の類は5キロまで可能です。

●一律通関手数料が課せられるもの(34.8シェケル≒約900円)
  2キロ以上5キロ以下の小包

航空便・SAL郵便・船便などでも、一律同じです。

●物品に応じた関税・消費税と通関手数料が課せられるもの
  5キロ以上の小包
  CIF(Cost, Insurance & Freight)の合算価額が50米ドル超のEMS

以前の通関&課税対象はEMSが主で、重たい物でもEMS以外の方法(SALや船便)で送れば一律手数料が課せられるだけだったのですが、2011年からは、送り方にかかわらず重さで分別され、関税・手数料が課せられます。
なお、今回発表された重量の話ばかりですが、現行法でも、重量や送付方法にかかわらず送料と合わせて50米ドルを超える高価なものは課税対象で、通関手数料や関税が課せられます(印刷物・書籍は75ドルまで)。
空便でも船便でも、イスラエルに重い物や高価なものは送らないほうが無難です。

また、「贈り物・個人使用品」に必ずマークすること。下手な手間を省くためです。個人の手作り品で商品価値ゼロならば、それもはっきり明記しておく必要があります。しかし、商品価値は税関が決めることであり、送り主が「これは百円です」と力説しても、税関が「千円の価値がある」とみなせばそこまでです。

もしEMSで送りたいなら、「万が一事故があった時の補償限度のため」と発送品の価値を高く評価して送付状に記入する人が多いようですが、イスラエル宛てにおいては止めておいたほうが無難です。

単なる数字の羅列になってしまったので分かりにくくて申し訳ないですが、大体の感じはつかめたでしょうか...。

日本の家族にはこの旨を伝えて、「送ってほしい物があったらこちらから言うから、頼まない物は送らないで」と言っておくしかありません。送る側は好意であっても、受け取る側がバカ高い関税や手数料を払わされるのですから、「頼んでもいない物にこんなに払わされるなら、何がほしいか聞いてほしかった・・・」という気持ちが頭を掠めてしまうことは否めませんから。

ひらめき 追記:2011年3月5日
税法や税率などは頻繁に変更があります。現在、一般物品の関税は16%ー29%です。
ここ最近、かなり厳しく関税が課せられているようです。くれぐれも御注意下さい。

ひらめき 関連記事:「イスラエルにどう小包を送ればいいか? (2012年改訂)

       
posted by Heshbonit at 13:00| 経理のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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