2009年01月17日

日本のお父さん達へ

時々来てくれる後輩Hちゃんから、非常に長いメールを頂戴いたしました。

いやー、Hちゃんは偉いよ。一生懸命働いて子育てして地域活動もやって、ご主人の仕事は激務不規則なのにそれも支えてさー。
ま、そういう内容のメールでした。こちらにお見えになるツーツマ様達の胸の内とさほど変わらないような内容でしょう。

というわけで、その内容を踏まえて、世のお父さん達に物申したい。

家事はラクになりました。ええ、とってもラクになりました。
前の日のうちに炊飯器にセットしておけばご飯が炊ける。朝5時に起きてかまどに火を熾す必要はありません。電子レンジもあり、機能的オーブンもある。
もしも忙しくて食事の支度が出来なかったら、出来合いのお惣菜を買ってきてもいいし、外食でもいいし、ご主人には何か食べて帰ってきてもらってもいい。
洗濯は全自動だし、掃除機だって機能的。家の中だってクリーン何とかで常に清浄を保てる。縫い物だってボタン付けやまつり縫い以上のことをすることもない。買ったほうが早いしきれいだし安い。もう、ものすごぉくラクになりました。

だからかなりの女性が、今は死語になりつつある「寿退社」をせず会社に残ったり、あるいは一時期は辞めても再就職やパートやバイトをする。そういう時代です。
そうなんです。女の仕事は非常に少なくなった。ラクになった。

じゃ、聞くけど。あなた達、殿方はどうなの?

昭和時代の前半、炊飯器が生まれる前・洗濯機が生まれる前・掃除機が生まれる前、家における男の仕事ってどんなでした?

薪を割って運ぶ。鍋に穴が開いたら叩いて直す。洗濯干しが壊れたら直す。洗濯のたらいを直す。家のあちこちがガタピシしたら直す。壁の漆喰がダメになったら何とかする。雨漏りがしたら屋根に上る。板塀を直してペンキを塗って。
そりゃ、自分で修理が出来ない酷い壊れなら大工を呼ぶけれど、そんな余裕がない家が大半。どぶ浚いだってしなくちゃいけない。たまには畳を上げて風通しもしなくちゃいけない。いやー、お父さん、忙しい。
昔は、女が居ないと家庭が回らなかったし同様、男がいなかったら本当に家がガタガタになったものです。そういう時代でした。

それが今の日本では、お父さんの仕事って何にもないんです。
だって何にもしなくていいような家を、お父さん達が作ってしまったから。
団地・マンションという集合住宅は、家にクギ1本打た(て)ない。壁はクロス張りだし、床はフローリングだし、窓はぴっしり閉まるサッシ。一戸建てだって、建もの探訪ばりの完全オーダーコダワリ住宅でもなければ、同じようなものでしょう。
棚がほしいと思っても、単に木を打ちつけるだけじゃ家そのものに合わない。結局セットで何か買ってきたり、ええい面倒だリフォーム業者を呼んで来よう、と。
上下水の応急処理なんて、専門業者を呼べば24時間いつでも来る。
電灯の交換ですら、今の電灯はお母さんが出来るほど楽です。

欧米の家なんかだと、大体皆それぞれが勝手に作っているから、ホームセンターでアレコレ買ってきて自分で全部やらないといけない。電気1つだって、自分でスクリューで穴を開けて電気繋がないといけない。
本当の板張りって、ワックス塗らなくちゃいけないし、何年に1回か表面ポリッシュしなくちゃいけない。
テラコッタのタイル張りだと目地が剥げてきたりするから埋めないといけないんです。壁だってペンキ塗らなくちゃいけないし。

日本では、お父さん達は汗水流してせっせせっせと働いた結果、男が何もしなくてよい、とっても便利な家になりました。そんな画一化された家が並ぶ日本では、よほど上手くないとDIYってみっともないだけなんです。

そしていつの間にか、家周辺のことも全て女がすることになり、地域活動なんて男が登場する所ではなくなってしまった。昔は「地域の寄り合い」って言ったら男しかいなかったのに、今では定年退職した男性が「長」の仕事で、大半は女ばっかりです。

だから今の日本のお父さん達の仕事は、日曜日に車を洗うだけ。
だってそれ以外、家にいてもお父さんの仕事はないんだもの。
お父さんの腕は実は筋肉があって結構カッコイイってところを見せる機会もない。お父さんは実は手先が器用だってことを子供が知ることもない。
家で見るお父さん、カッコよくない。お父さん、バカにされる。お父さん、孤独。お父さん、暇。お父さん、行く所ない。お父さん、駅前パチンコ。本屋ぶらぶら。

嗚呼、世のお父さん、可哀想かもしれない。本当はカッコイイとこがたくさんあるはずなのに、家の中では見せ場がないんだもの。
しょうがないけど、でもあなた達に比べたら、お母さんの仕事はラクになったとは言っても、家におけるお父さんの仕事のようには減ってはいません。

だから、「家事は楽になった」なんて、お父さん達は言えないんです。

炊飯器はあるけど、電子レンジもあるけど、火を熾さなくてもガスも電気もあるけど、洗濯機があるから真冬でも土間に座って水に手を浸して皸を作ることもないけど、それでもやっぱり毎日仕事はある。

だからT君、食洗機、買いましょう。
Hちゃんのためじゃないんです。家のためです。これはT君が薪を割ったりどぶ浚いをしたり雨漏りの修理をしなくていいのと同じことです。
自分だけが楽をするのはよくありません。
posted by Heshbonit at 18:00| ロシュ・カタン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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